目眩く夜の底で


瞬きに視線に
青い炎を含ませる
泡沫の天使よ
誇るがいい
それは君の魂の色
廃れ壊れ頽れる
腐乱の世に相応しい

“世にも珍しい
青い瞳をした天使だよ
覗き込んでごらん
天にも昇る気持ちさ”

啄ばまれ雨に打たれ
絶望すらも
君にはもう届かない
死を纏わせながら
今にも壊れそうに生きる君が
あまりに美しいがため
唇が嘘を吐く度
金糸雀の声音で囀る度
炎は一層燃え上がり
神すら眼を焼かれる程に
夜を燃やす

革命すら起こせぬまま
混濁の流れに身を任せ
光は君を照らし続ける
容赦なく
濃い影が生まれ
覆い尽くすように
愛の手は眼差しは
黒々と焼け焦げ
君に届く前に
脆く崩れ去るだろう
いっそ殺めよと
願えばこそ

燃やしてしまえ
恐れるものなど何もない
自ら熱を放つ赤子のように
捨てられた黒猫のように
野生に満ちた美しい声で
鳴けばいい
狂ったように
請うように
再び生まれる痛みを
その身に受けながら

“湿った翼は重かろう
飛べやしないさ
その有様じゃあ
どうして奴から逃げ出したのさ”


2008/08/02



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