野ばらの園で眠る兎


朝はさみしい
ひとりぼっちを思い知る
始まりには終わりがあるのなら
ぼくのこの虚しさも
泣きながら目覚める朝も
いつか終わるのでしょうか
誰かいませんか
温まった葉裏に
隠れているのなら出ておいでよ
あなたに逢いたい
今とても

お空の神さま
目覚めた瞬間
浅い光に包まれていると
何もかも
遠い国のおとぎ話のようで
星を数えて並べた夢が
ほろほろ溶けてゆくのです
どうかどうか
ぼくに未来をください

野ばらも小鳥もそばにいる
けれど彼らは答えてくれない
ぼくはどうしてひとりなの
撫でてくれたら
手のひらを舐めてあげます
どんぐりの瞳で
じっと見つめてあげます
どんなことがあっても
そばに寄り添うよ
声を出すこともできない
守ることもできない
小さなぼくだけど

優しいあなた
まだ見ぬあなた
待っているよ
野ばらの園で
眠るぼくを抱き上げて
あなたの腕で
もう一度まどろめたなら
覚めない夢を
見続けられたなら


2008/08/02



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