猛獣使い


その美しい獣を絞め殺す
度量を僕が持っていたなら
その欲望が獲物を見失う
性さえ奪った理由を
僕がこの手で飼い慣らせていたなら

裏切りが裏切りの
螺旋をぐるり落ちていく
鞭が君の身体に轍を作る
君を打つ衝動が
僕の骨を砕く
なぜ君は声を上げない

強い瞳に射抜かれた
あの瞬間を忘れはしない
君は君であった
野生の、獰猛な、肉食獣だった

怜悧な志は
泥濘に埋もれてしまったのか
閃光の切っ先は
僕を傷付けるものではなかったのか
檻の中
僕を見つめる瞳は月のよう
金色に爛れて
いつか夜を終えるのだろう
僕は鞭でもって
それを切り裂こう
何度でも
君の牙を取り戻すため


2010/10/03



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