まほろば


七色に近付く君と
君から遠ざかる僕
手を繋いで浜辺を歩いた
あの夏を覚えてる
遠い昔 まだ君と僕が
羽根みたいに身軽な
子供だったころ
白い服が似合う
少年と少女のあいだ

幸福はあまりに遠い
睫毛のあわいから揺らめく
虹色の楽園
まぼろしのまほろば

そばにいても
君は遠い
抱きすくめられて
僕の身体は石になる
光に呑み込まれることが
怖くて愛しくて哀しい
ぎこちなく君の背中に手を回しながら
静かに嘆くばかり
君の純粋な瞳
僕の純粋な心
溶け合ってしまえば
あの日に戻れるの

きっと僕らは相容れない
君はいずれ
幸福に舞い飛ぶだろう
僕はここで
精一杯 君を見送ろう
永遠の別れを
予感を
喉の奥に痞えさせたまま
君に背を向ける


2007/7/21



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