首吊り花


根腐れを起こしたんだ
降りしきる甘い雨のなか
たった独り立ち尽くして
逃げる術を知らないで
馬鹿みたいに受け止めた

花は咲いたよ 首吊り花
その俯いた大きな花弁
未練たらしいから捥いでしまえよ
きっとそのうち
甘くてどぎつい実がなる
醜く萎れて地面にへたるところなんて
見たくないんだ
見たくないだろ

湿気を含んだ6月の微風
嗅ぎ慣れた雨の匂い
首吊り花は未だ ベランダの片隅
この季節が終わるころ
日照りが訪れたとき
君は捥がずにいられるかな
撒き散らした種子を
一つ残らず踏み潰すこと
できるの ねえ
できないなら いっそ
僕が本格的に腐り出して
土に還る無様な姿を
目を逸らすことなく見ていなよ
僕の運命 君の罪
誰も責めやしないから

ああ 君の身体からも
首吊り花の芽が出ている
そんなまやかしで哀れんだ
土砂降り雨の日


2007/5/17



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