Cocon


寂しさに呼ばれて
ぽっかり浮かぶ月に
手をかざすのです
毎夜 降る優しさは同じ
乳の雫のよう

もしもし
糸を巻きますか
お母さん

もしもし
服を繕いますか
お父さん

あの子とわたしは同じ生まれだと
気付いたのは夕暮れの
骨のような少女であったころ
あの鮮やかな翅はまぶしい
小さく包まっていたいの
目くるめいてくずおれたいの
涙の海を枕の船がゆきます

千切ってよ
呟く声は白く解けて
いつか近く遠い日
犠牲の代わりに
契ってよ
わたしがわたしを絡めるの
白銀の荒野 吹雪かれて
小さな町のいびつな結晶
むしるように抱き取るのです


2012/02/09



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