amor


信じたいのなら信じていればいいさ
君のちっぽけな考えとやらを
僕は何も言わないから
ただ、哀れんであげる
穢れのない君の瞳を
羨んであげる
その悪意のない笑みを
攫ってごらんよ、amor
彼の全てを犯してごらんよ
僕にそうしたみたいにさ
それは突然やってくる

伏せられた長い睫毛が持ち上がり、隠されていた硝子球が向けられた
魚の鱗のような濁った光がてらてらと蠢いている
渇望したって心は戻らない、戻れない
僕たちはいつまでも白いままではいられなかった
amorにきつく抱きすくめられている
耳元で君は独りだと囁かれている
彼の笑顔は化石となって、僕の胸の奥でことりと小さな音を立てた


2007/4/24



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